元フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテの逮捕:国際司法における歴史的事件
元フィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテは、2025年3月11日にフィリピン国家警察とインターポールによって国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状のもと逮捕されました。彼はハーグに移送され、物議を醸した麻薬戦争に関連する人道に対する罪の裁判に直面することになります。

ロドリゴ・ドゥテルテの逮捕
2025年3月11日、元フィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテが、**フィリピン国家警察(PNP)と国際刑事警察機構(Interpol)によってニノイ・アキノ国際空港(NAIA)**で逮捕されました。この逮捕は、国際刑事裁判所(ICC)による人道に対する罪の逮捕状に基づいて実行されました。ドゥテルテは、香港での政治集会に参加した後、フィリピンに帰国したばかりでした。
逮捕後、彼はビラモール空軍基地へ移送され、その後オランダに送られ、ハーグの国際刑事裁判所で裁判を受ける予定となっています。この事件は歴史的な瞬間であり、ドゥテルテは国際刑事裁判所で裁かれる初のアジアの指導者であり、国際法廷で裁かれる初のフィリピン大統領となりました。
人道に対する罪の告発
国際刑事裁判所によるドゥテルテの起訴は、彼がダバオ市長時代およびフィリピン大統領時代に行ったとされる超法規的殺害に関するものです。これらの罪は、彼の麻薬戦争政策のもとで発生した数千人の死亡事件に関係しており、多くの人権団体から国家ぐるみの暴力キャンペーンであると非難されていました。
フィリピンは当初、ローマ規程に基づきICCの加盟国でしたが、ドゥテルテ政権下の2019年に脱退しました。しかし、ICCは脱退前に発生した犯罪は調査の対象となると主張し、捜査を継続しました。2025年3月7日、ICCの予審部門がドゥテルテに対する逮捕状を発行しました。当初、この逮捕状は**「極秘」**とされていましたが、3月11日に公表されました。
マルコス政権の対応
ボンボン・マルコス大統領の政権下で、フィリピン政府は当初、ICCの捜査に対し協力しない方針を維持していました。しかし、2024年には国際的な捜査機関の独立した行動を妨げることはできないと発表し、国際刑事警察機構(Interpol)からの正式な要請があればドゥテルテを引き渡すと述べていました。
逮捕後、マルコス大統領は記者会見で、PNPがICCではなくInterpolと連携して逮捕状を執行したと強調しました。これは、フィリピンの主権を維持しつつも、国際法に基づく義務を果たすためのバランスを取る狙いがあったとみられます。
ドゥテルテ最後の自由な日々:香港での集会
逮捕前のドゥテルテは、香港での政治集会に参加していました。2025年3月9日、彼は湾仔のサウソーン・スタジアムで行われた**PDP(フィリピン民主党)のキャンペーンイベントに出席しました。この集会は、宗教団体キングダム・オブ・ジーザス・クライスト(KOJC)**によって組織されました。
演説の中で、ドゥテルテは逮捕状の噂に触れ、**「自分の銅像をダバオ市に建てるため、1人5ドルまたは10ドル寄付してくれ」**と冗談を言いました。
このイベントには、彼の娘であるサラ・ドゥテルテ副大統領のほか、ボン・ゴー上院議員、ロビン・パディリャ上院議員などの政治的同盟者が出席していました。彼が中国に政治亡命を求めるのではないかという憶測もありましたが、サラ・ドゥテルテは中国政府との接触はなかったと否定しました。
NAIAでの逮捕:計画的な作戦
3月11日朝、300人以上の警察官がNAIA第3ターミナルに配備され、ドゥテルテの帰国に備えました。彼の乗ったキャセイパシフィック航空CX907便は、午前9時20分(PHT)に着陸しました。ドゥテルテが降機すると、元将軍アンソニー・アルカンタラと司法省の検察官リチャード・ファドゥロンが彼を正式に拘束しました。
ドゥテルテの事実婚の妻、ハニーレット・アバンセーニャは警察の対応に強く反発し、「違法な逮捕だ」と叫びました。一方、娘のベロニカ・ドゥテルテは逮捕の様子をライブ配信しました。警察は慎重に対応し、ドゥテルテを速やかに拘束しました。
抗議と国内の治安対策
逮捕後、PNPは国内の警戒レベルを引き上げ、支持者による抗議活動の可能性に備えました。サラ・ドゥテルテ副大統領は、父の逮捕を**「国家主権への侮辱」と非難しました。一方、息子であるセバスチャン・ドゥテルテダバオ市長は、「父は適切な医療を受けていない」と政府を非難しました。しかし、フィリピン政府は、「彼の健康状態に問題はない」**と主張しました。
ハーグへの移送
3月11日午後11時3分(PHT)、ドゥテルテは大統領府がチャーターしたガルフストリームG550ジェット機に乗せられました。飛行機はドバイを経由し、3月12日にオランダのロッテルダム空港に到着しました。現在、彼は**国連拘禁施設(UN Detention Unit)**に収容され、ICCでの裁判を待っています。
主権と国際司法:フィリピンにとっての前例
ドゥテルテの逮捕と裁判は、フィリピンの主権に関する重大な疑問を投げかける歴史的な出来事です。人権侵害を裁く国際司法の仕組みは重要ですが、フィリピンが自国の司法制度を適用する権利を否定されるべきではありません。法の支配は貫かれるべきですが、それが外国の圧力や国際機関の介入によって左右されるべきではないという点は、今後の議論の焦点となるでしょう。
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