フィリピンで聖週間が盛大に祝われる理由

信仰に根ざした国

フィリピンはアジアで最大のカトリック国家として知られており、300年以上にわたるスペイン統治の遺産が今も色濃く残っています。宗教はフィリピン人の生活に深く根付いており、「セマナ・サンタ（聖週間）」はキリストの受難、死、復活を記念する重要な期間です。

この一週間は、宗教行事であるだけでなく、文化的にも重要な存在であり、家族や地域社会で共有される時間です。

フィリピン人にとっての聖週間の意味

聖週間は、フィリピン人にとって内省と悔い改めの時期です。信仰を深め、自分自身と向き合い、人生の意味を見つめ直す機会となります。学校や仕事は休みに入り、ビジネスも短縮営業や休業になることが多いです。

祈り、断食、告解、巡礼など、個人とコミュニティの両方が参加する重要な行事です。

フィリピンの聖週間・7日間の流れ

1. 聖枝の主日（Palm Sunday）

イエス・キリストがエルサレムに入城した日を記念します。信者たちはヤシの葉で作られた「パラサパス」を持ち寄り、司祭に祝福してもらいます。

2. 聖月曜日・聖火曜日

比較的静かな日ですが、教会を巡る「ビシタ・イグレシア」が始まる時期です。

3. 聖水曜日（スパイ・ウェンズデー）

イエスを裏切ったユダを思い出す日です。各地で行列や準備が始まります。

4. 聖木曜日（Maundy Thursday）

最後の晩餐を記念し、聖体拝領のミサや足洗いの儀式が行われます。夜には「御聖体の安置所」が設置され、祈りの夜が始まります。

5. 聖金曜日（Good Friday）

イエス・キリストの十字架上の死を記念する、最も厳粛な日です。

• サント・エンティエロ: キリストの遺体像が棺に入れられ、行列が行われます。
• 民間文化: パンパンガ州などでは、自ら鞭打つ信者や十字架にかかるパフォーマンスが見られます。

6. 聖土曜日（Black Saturday）

静寂と待機の一日。ミサは行われず、復活徹夜祭まで祈りの時間が続きます。

7. 復活の主日（Easter Sunday）

悲しみから喜びへ。「サルボン」と呼ばれる早朝の儀式で、復活したキリストとマリアの再会を再現します。

フィリピン独自の伝統行事

• ビシタ・イグレシア: 7つの教会を巡礼し、十字架の道行きを黙想します。
• パバサ: キリストの受難の詩（パション）を24時間唱え続ける伝統。
• セナクロ: キリストの物語を演劇で再現。
• 断食と肉食の禁止: 多くの人が肉を避け、節制を守ります。

現代における聖週間

近年では、休暇として旅行する人も増えていますが、特に地方では信仰と伝統がしっかりと守られています。 パンデミック以降はオンラインでのミサやバーチャル巡礼も普及しています。

フィリピン人の精神性と共同体の力

フィリピンの聖週間は、信仰と文化が交差する特別な時間です。世代を超えて受け継がれたこの伝統は、フィリピン人の精神性と共同体の力を象徴しています。

Nipino.comは、正確で本物のコンテンツを提供することに尽力しています。ここをクリックしてご意見をお聞かせください。